JALは2021年4月より「ふるさとプロジェクト」を始動、企業としてのSDGs達成や地域活性化を目指し活動しています。
SDGsは近ごろよく聞く言葉なのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、個人レベルではまだそこまで浸透していない様子。
企業で見ると既に取り組んでいるとか取り組みを検討しているところも多く、大企業に限って見ると管理職の方には理解が進んでいるのだとか。
JALもSDGsの達成と同時に地域の活性化も目指した「ふるさとプロジェクト」でその動きを加速させています。
そこで今回は
- JAL「ふるさとプロジェクト」を解説
- SDGsとの関連と地域活性化
についてお伝えします。
JAL「ふるさとプロジェクト」とは
2021年4月から始まった「ふるさとプロジェクト」。
キーワードは
- 地域密着活動
- 地域紹介
- ニューノーマル対応
- 販路・流通支援
の4つ。
ひとつずつ解説します。
地域密着活動
「地域密着活動」はその言葉の通り全国各地の地域に密着した活動のことを指しますが、もっと具体的に言うと
交流人口拡大や地域産業振興など、地域の課題解決に向け、
地域のタカラを掘り起こし、磨きあげ、発信し、
地域と一緒に地域の元気を創造します引用元:https://japan.jal.co.jp/activities/
ということ。
高齢化が進む地方ではせっかくある「タカラ」に気づかずに埋もれさせているということもよくある話。
地元の人ではなかなか気づけないその「タカラ」を第三者の目で見つけ出し、地元の方々と共に発信していこうという取り組み。
その地域ならではのポテンシャルが引き出されたら、そりゃあ自信もつくし元気にもなりますよね。
そして地域密着活動はさらに3つに細分化されます。
1.交流人口拡大支援
<地域ならではのコンテンツの創出・インバウンド施策・まちづくりのサポート>
「地域ならではのコンテンツの創出」こそが「タカラを掘り起こす」こと。
ごく身近にあって長年見てきたことは当たり前になってその良さに気づかないものなんですよね。
「インバウンド施策」はJALにとっては事業機会の創出にもつながる大事な部分。
そしてそれらを通してのまちづくりをお手伝い。
2.地域産業支援
<商品開発やプロモーションなどで地域特産物の価値を高め地場産業を盛り上げる>
「せっかく持っている高い技術を生かせばもっと需要が見込めるものが作り出せそう」
「美味しい食材があるのにブランド化できないせいで知られることもなく収入にもならない」
なんてことは地域の人口流出だけでなくその技術や知識の後継者不足となり日本全体からしても大きな損失。
その地域ならではの産業や特産物の価値を高めていくことは技術の継承にもつながります。
3.事例研究(キーパーソン)
<様々な活動を通してまちづくりや地域振興に取り組んできた人々にインタビュー>
こちらは広報活動。
取り組みの表面だけしか見えない時は結果ばかりにフォーカスしがちですが、その苦労や裏話を知ることで一体感や新たな協力者が生まれたりします。
具体的な活動事例や取り組みはコチラ。
地域紹介
毎月更新!日本各地のその土地ならではの
多彩な魅力を発掘し国内線機内食でのご提供*、
JALグループの各種メディアを通じて発信します。
*国内線ファーストクラス引用元:https://japan.jal.co.jp/introduction/
地域の料理、特産物や「ならでは」の風景など多彩な魅力を発信する、それが毎月変わるということですね。
「機内食での提供」ですからJAL機に搭乗しないと料理は頂けないよう。(しかもファーストクラス)
ただwebマガジン「OnTrip JAL」や機内誌「SKYWARD」なら自宅に居ながら地域の魅力に触れることができます。
※webマガジン「OnTrip JAL」はこちら
※機内誌「SKYWARD」のバックナンバーはこちら
また「ジャルパックおすすめツアー」で実際に現地に訪れることもできます。
「ふるさとプロジェクト」の地域紹介のページからご確認ください。
ニューノーマル対応
「ニューノーマル」とはまさにコロナ禍における「新しい日常」のこと。
社会的な環境変化や働き方改革でニーズが高まっている
ニューノーマル時代に対応した新たな旅のスタイルや
移住・定住につながるプログラムなど
地域とお客さまをつなぐ商品を企画、ご提供しています。引用元:https://japan.jal.co.jp/newnormal/
テレワークが定着してきて出勤しなくても、またオフィスがなくても成立する職種もあることがわかり、一部では都会に住むことに疑問を感じるように。
この「ニューノーマル対応」では
- ワーケーション/ブリージャー
- 2地域居住
についての提案やお手伝いをしてくれます。
1.ワーケーション/ブリージャー
ワーケーション(休暇+仕事)といえばすっかり耳に馴染んだ言葉。
一方「ブリージャー(bleisure)」とはビジネス(business)とレジャー(leisure)をかけ合わせた造語のこと。
今までは出張といえば長期の出張でない限り、仕事がある時にだけ出かけ終わったら即「帰社(帰宅)」が一般的でしたが、ニューノーマルとなりつつある現在は出張の前後(あるいはどちらか)に何日間かの休日を設け出張先で休日を満喫できる、というのがブリージャーという制度。
特にヨーロッパでは多くの企業がこの制度を採り入れているんだとか。
JALではワーケーションとブリージャーについての座談会などを通して仕事にもレジャーにも適したスタイルを提案しています。
2.2地域居住
「2地域居住」とは今までの住まいの他にもうひとつ拠点を構えること。
主に都市部と地方(田舎)の2拠点と捉えられます。
平日は都市部で仕事、週末や休日は田舎でのんびり、というのが最もわかりやすい構図。
少し前までは一部の裕福な人にだけ与えられていたこのスタイルがニューノーマルの今なら叶うかも。
ただ「居住」とまではなかなかいきませんが、その代わり各地を訪れてそれぞれの良さを体験できるという楽しみ方はできます。
そうしていずれはお気に入りの土地を見つけたらその時に移住を検討するのもあり。
販路・流通支援
せっかく「タカラ」を発掘しても販路がなければまさに「宝の持ち腐れ」。
そして販路開拓というのは簡単ではなく経験のない人にとっては何をどうしたらいいのかさっぱり、ということになりがち。
JALではこの部分も支援してくれます。
ふるさと納税やJALグループのネットワークを通じ
地域との共同開発商品(オリジナル商品)や
特産品の発掘・販売などで
地域振興に向けた商品をご提供しています引用元:https://japan.jal.co.jp/channel/
そうなんです!
JALにはふるさと納税がありますので、各地の特産品などを返礼品にすればそれだけで多くの方の目に留まりやすくなります。
やがてそこから販路開拓になるかも。
まだまだ可能性は広がります。
ふるさとプロジェクトとSDGsとの関連
ここまでいかにふるさとプロジェクトが地域活性化の一端を担っているかをご紹介してまいりました。
ここからはそんなふるさとプロジェクトがSDGsとどのように関連しているか、を探っていきたいと思います。
まずはSDGsがどんなものであるかを見ておきます。
SDGsとは?
SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を指します。
具体的には次のようなものです。
- 2015年の国連サミットにおいて全会一致で採決された持続可能な開発の為の2030アジェンダに記載されている
- 2030年までに世界で目指す国際目標
- 17のゴール・169のターゲットで構成されている
- 最終的な目標は「地球上の誰一人取り残さない」
ではさらに具体的にすべく17のゴールを表した画像を外務省の公式サイトよりお借りしました。
引用元:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_pamphlet.pdf
これを見たら誰しも思うことがあるはず。それは
「これって全人類の長年の目標だったよね?」
ずっとこういう世の中を目指してきたのに戦争は(冷戦も含めて)いつまでもなくならない、そのせいで食料もない・住むところもないといった貧困が生まれる、独裁者は私腹を肥やすことばかり…
やっとこういう話が具体的にできるようになったんだな、という印象。
企業がSDGsに取り組むまでの流れ
SDGsに取り組む企業はJALだけにとどまらずたくさんあります。(経団連の公式サイトで紹介されてます)
その流れは上場一部企業で構成された経団連が、2017年に行動憲章を「Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成」と改定したところから始まります。
Society(数字).0とは人類が誕生してから現代までの社会(society)の有り様を端的に表したもの。
- Society1.0は狩猟社会
- Society2.0は農耕社会
- Society3.0は工業社会
- Society4.0は情報社会
- Society5.0は革新技術を取り入れた未来社会
Society5.0の実現にはSDGsの達成が不可欠、というわけです。
この動きにより主に大企業がSDGsの取り組みへと舵を切るという流れができました。
企業がSDGsに取り組むメリット
現在もあらゆる企業がSDGsに取り組んでいますが、通常の業務の他にわざわざ取り組むのはメリットがあってこそ。
企業がSDGsに取り組むメリットにはどんなものがあるのでしょう。
- 企業の信用度が上がる
- 企業のブランディグにつながる
- 社員の満足度が高まり離職率が下がる
- 良い人材が集まりやすくなる
- ビジネスチャンスの創出
全ての企業に当てはまるわけではありませんし、他にもまだありそうですがぱっと思いつくのはこれくらいでしょうか。
特にイメージ戦略としてはいい取り組みかな、と思います。
ふるさとプロジェクトとSDGsとの関連性
前項でご紹介したJALのふるさとプロジェクトのサイトには
ふるさとへの想いを大切に地域とのつながりを育み
新たな価値創造に努めるとともに
持続可能な地域社会の実現とSDGsの達成に向けて活動してまいります
引用元:https://japan.jal.co.jp/?_ga=2.106732803.1432365771.1620227636-1429553505.1620227636
という一文があります。
日本の各地域を応援するふるさとプロジェクトとSDGsとはどう関連しているのでしょう。
ふるさとプロジェクトのサイトを見ると各事例の後にこんな表示があります。(全ての事例ではありません)
↑こちらは「販路・流通支援」のページから拝借したもの。
これによると
- 目標8…経済成長と雇用
- 目標9…インフラ、産業化、イノベーション
- 目標11…持続可能な都市
- 目標12…持続可能な消費と生産
- 目標17…実施手段
が該当するとのこと。
なるほど、と思いますね。
17ゴール全部なんて取り組む必要は全然なくて、各企業でできる範囲でできることを継続していくことが大事なんだと教えてもらいました。
まとめ
今回はJALの「ふるさとプロジェクト」についての解説やSDGsとの関連などをまとめました。
ふるさとプロジェクトの話題から思いがけずSDGsにまで話が飛んでしまいましたが、個人的には
- 「ニューノーマル」という言葉にほんの少し悲しくなる
- 長年、人類が目指してきたものがようやく具体的な言葉で表現された
という印象が残っています。
これから新たな世の中を目指していくにあたって思うことは
「早く争いのない世界になってくれ」
ということ。
それだけで豊かになれる人がいるはず。
弱者に優しい世の中であって欲しいです。